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フリーズグラニュレーション(凍結造粒法)
フリーズグラニュレーションとは、原料液を液体窒素内に噴霧することで瞬間的に凍結させ、その凍結した造粒体を凍結乾燥(昇華)させることにより、球形で流動性に優れた顆粒を製造することが可能な凍結造粒プロセスです。1975年にセラミックパウダーの凍結造粒についてW.W. Rhodes と S. Prochazka により発表された後、1980年代後半にスウェーデンのSCI(現在はSwerea IVFに統合)が最適な造粒特性を得る研究用途としてフリーズグラニュレーション法を開発しました。その後、1990年代以降にセラミックスおよび金属材料分野を中心に研究が進み、プロセス機器としての開発ニーズが高まったことから、2000年にSwerea IVFからスピンオフする形で、フリーズグラニュレーションプロセスの開発メーカーとしてPowderPro AB(パウダープロ)が設立されました。パウダープロが確立した凍結造粒プロセスで得られる造粒体は、球形で流動性に優れ、高い均質性を保持することが可能です。



凍結造粒プロセス
造粒プロセスは、撹拌した液体窒素内に二流体ノズルで原料液をスプレーする連続式の噴霧凍結プロセスとバッチ式の凍結乾燥プロセスの二段階で構成されています。噴霧凍結プロセスにより凍結化した造粒体は一時的に冷凍保管することが可能なため、複数品種あるいは検体を一度に乾燥させることも可能です。
フリーズグラニュレーター vs スプレードライヤー
フリーズグラニュレーションは、スプレードライ法と比べて造粒体の収縮および微細粒子の移動が起きないため、顆粒が中空状になりにくく、高分散、低密度かつ均質な球形の造粒体を得ることが可能です。顆粒の粒度分布は、スプレードライヤーと比べて広く(10 – 700μm)、スプレードライ法と同等以上のタップ密度が得られます。また、高温の熱風乾燥プロセスと異なり、材料の酸化を最低限にとどめることが可能です。
特徴
- 造粒子径範囲は10~700μm程度
- 球形で流動性に優れた造粒体が得られる
- 造粒体の変形が少ない
- 微粒子やバインダーの移動が起こらない
- 低密度でソフトな顆粒が得られる
- 中空状にならず均質に分散した造粒体が得られる
- 高温乾燥プロセスと比べて酸化しにくい
- 固形分濃度調整により密度コントロールが可能
- 材料ロスがほとんど無く、歩留まりが良い
- コンタミの可能性が極めて低い
- 少量(50~100 ml)から大容量まで処理が可能
- 洗浄が容易で多品種、複数条件の同時処理が可能
アプリケーション例
- セラミックス、金属の造粒体製造プロセス
- MIM(金属粉末射出成型)や押出成型の粉末充填
- 高歩留りの材料合成
- ナノパウダーやCNTの再分散処理
- 触媒におけるキャリア粒子製造
- LED材製造
- 溶射材の製造
- 医薬品およびバイオマテリアル
粒子の再分散性
前処理を行うことにより比較的結合度の高い造粒体も高レベルで再分散することが可能です。
規格外粒度を再利用
凍結造粒後、シンプルなプロペラ撹拌処理のみで元の粘度水準まで引き下げることが可能です。
ナノパウダーの造粒プロセス
粒子間の結合性が弱いことから、凝集しないままでナノパーティクルのサイズを保持し、再分散処理を行うことが可能です。


テスト・受託加工
パウダーテクニカルセンター(神奈川県川崎市)において、テストおよび受託加工生産を承ります。原料は数百g~の小ロットも対応可能です。性能評価に必要な粒度分布測定や形状測定等の分析・測定も行い、条件データと合わせてレポートに反映します。
フリーズグラニュレーター

型式:LS-2(~2L/h)、LS-6(~6L/h)
付属品:ポンプユニット、作業用カバー付きマグネチックスターラーユニット、原料液容器、凍結造粒ユニット(ノズル、サポート付きカバー、断熱カバー付き容器)、液体窒素充填容器、造粒体回収ツールキット

型式:LS-6nms(~6L/h)
付属品:ポンプユニット、作業用カバー付き機械攪拌ユニット、原料液容器、凍結造粒ユニット(ノズル、サポート付きカバー、断熱カバー付き容器)、液体窒素充填容器、造粒体回収ツールキット
フリーズドライヤー
凍結造粒プロセス向けに独自選定したフリーズドライヤーを提供します。

- フリーズドライヤーFDU-1110
- 除湿量:4L/回
- トラップ冷却温度:-45°C
- 付属品:特殊6段仕様ドライチャンバー真空ポンプ
- フリーズドライヤーFDU-2110
- 除湿量:3L/回
- トラップ冷却温度:-80°C
- 付属品:特殊6段仕様ドライチャンバー真空ポンプ
オペレーショントレーニング
日本およびスウェーデンの技術チームにより、設置およびオペレーショントレーニングを提供します。材料に合わせた最適なオペレーションを行うためには、様々な技術ノウハウが必要となります。長年にわたり蓄積された凍結造粒技術をもとに、目指す造粒子に合わせた技術導入支援を実施します。

PowderPro ABのOla Lyckfeldt氏(左)、 Martin Sjöstedt氏(中央)、Kent Rundgren氏(右)
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